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2007/02/03 (土)

[]アステラス製薬 アステラス製薬 - Hatena::Group::Virtualization::takaochan を含むブックマーク はてなブックマーク - アステラス製薬 - Hatena::Group::Virtualization::takaochan

アステラス製薬は,サーバー仮想化技術「Virtual Server」を使ったサーバー統合に取り組んでいる。2006年4月に着手して以来,すでに100台近いサーバーを約10台の物理サーバーに集約した。 2006年12月には,研究所にあった約20台のサーバーを3台の物理サーバーに統合。「スリム組織で行き届いた管理を可能にしたい」(情報システム本部 情報システム企画部 次長 インフラグループ統括 竹沢幹夫氏)との思いから,今後もサーバー統合を進める考えだ。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20070201/260370/

仮想化製品市場ではVMwareマーケットリーダーであるため、MicrosoftのVirtual Serverを使用したサーバ統合の事例は少ないので興味深い。アステラス製薬は山之内製薬と藤沢薬品合併して2004年にできた新しい会社であるがゆえ、両社が持っていたサーバの統合・整理が必要であったことが仮想化を実践するきっかけにもなったということだろう。

同社のサーバーは大半がWindowsベースLinuxサーバーも若干あるが,統合するほどではなかった。そこで,Windowsサーバーに対応するサーバー仮想化ソフトの中から,社内標準を選ぶことにした。検討したのは,(1)ヴイエムウェアの「VMware ESX Server」,(2)同「VMware GSX Server」,(3)マイクロソフトの「Virtual Server 2005 R2」の3製品で,パフォーマンスコストを比較した。

現時点でサーバの仮想化を行うとしたら、選択肢となりうるツールは上記に加え、Xen系(VirtualIronなど)やVirtuozo系などがあるくらいだろうか。

(1)のVMware ESX ServerはゲストOSをデュアルCPU(当時)で稼働できたのでパフォーマンスは良かったが,コストが高かった。(2)のVMware GSX Serverと(3)のVirtual Server 2005 R2は,いずれもシングルCPUのみのサポートだったが,検証によりどちらも実用に耐えることが確認できた。そこで,(2)と(3)でコストを比較した。(2)への移行には当時で100万円台かかったのに対し,(3)は約20万円台(ボリューム・ライセンス契約でWindows Server 2003 R2, Enterprise Editionを購入した場合)で済んだことから,(3)のVirtual Server 2005 R2に決めた。同社は日ごろからマイクロソフト製品を多用しており,サポート面での安心感もあった。

VMwareにとってESX Serverの価格設定は難しい。性能面ではおそらく現時点で最も優れた仮想化ツールであるので、価格面で競争力を持てばかなり強力なシェア拡大を図ることができるだろう。しかしGSX ServerをVMware Serverとして無償化したこともあり、同社はESX Serverから利益を生み出さなくてはならない。高くてもユーザが選択してくれるだけの性能を訴える戦略を進めているが、この戦略も今後はMicrosoftの対抗戦略次第だろう。

VMware ServerとVirtual Serverは現在基本的に無償で提供されており、MicrosoftはさらにWindows Server 2003 R2 Enterprise Editionの場合そのサーバ上で最大4つまでの仮想インスタンスとしてWindowsを稼動させることをライセンスで許可している。Windowsサーバ中心で使用しているのであれば、ライセンス費用という意味でVirtual Serverは有力な選択肢といえるだろう。

サーバーから仮想サーバーへの移行には,当初マイクロソフトが提供する移行ツール「VSMT(Virtual Server 2005 Migration Toolkit)」を使う計画だったが,なぜかうまく動かなかった。

MicrosoftのVSMTにしろ、VMwareのP2V Assistant / VMware Converterにしろ、物理サーバからの移行ツールはユーザに仮想化に踏み出させるきっかけとして非常に重要であるが、必ず移行できるわけではない。仮想サーバを使用し始めるきっかけとして物理サーバからの移行を考える場合は多いであろうが、移行ツールで移行できない場合はどうするのか、移行ツールで移行できなかった場合に仮想環境移行する方法はあるのか、などを事前に検討しておくことが重要だろう。

移行作業と並行して,Virtual Server 2005 R2を使用してサーバーを構築する事業部門が参照するための「標準構成定義書」を作成した。物理サーバーに必要なスペックや,仮想サーバーに割り当てるリソース量などの下限を,パフォーマンステストの実績を基に明確化。さらに,ホストOSゲストOSのそれぞれについて,インストール方法や設定方法などを記述した。

仮想化による統合はシステム管理をシンプルにする、といわれるが、実際には仮想化レイヤーという新しい管理対象レイヤーが増えるわけで、新たな管理対象を管理する必要も発生する。特定のやり方に固執することはよくないであろうが、仮想化を推進していくのであれば標準構成やルールポリシーなどを明確にしておく方がいいだろう。仮想化によって逆に「何がなんだかわからなくなった」のでは本末転倒といえる。

仮想化はトレンドとして大きく扱われているが、システム管理のために使用することができる選択肢が1つ増えたという程度に冷静に考える必要がある。